ケアラー支援フォーラム2013
2013年度 ケアラー支援フォーラム
       

ケアラーを地域で支えるツールとしくみ

フォーラム2013プログラム

2013年6月16日(日)、都内にて、2013年度のケアラー支援フォーラムを開催しました。参加者は100名を超え、熱気あふれるフォーラムとなりました。各プログラムのレポートを掲載します。

当日配布した資料をご希望の方は、お問い合わせフォームに「2013年フォーラム資料希望」とご記入のうえご連絡ください。
資料代として、1部につき1000円を頂戴します。




第1部:調査報告●2011年度ケアラー調査報告と提言
“被災地ケアラーの現状と生活支援の現場から”
玉山進氏(花巻市生活福祉部長寿福祉課課長)

花巻市は人口10万1千人弱、高齢化率は29.5%(2012年度末)の地方都市。2009年に起こった介護家族の不幸な事件を機に、市が「在宅介護者実態調査」実施した結果、24%(339人)の介護者が軽度または中度の抑うつ傾向にあった。2010年度から、介護者の見守りと健康維持などを目的に「在宅介護者等訪問相談事業」を開始した。当初は緊急措置として財源を確保し、相談員6名を配置、延べ1699件の訪問相談を実施した。2011年度から相談員は3名体制となり、延べ1342件の訪問相談を行った。2012年度は延べ1599件で、訪問内容は状況確認が主だが、介護保険や介護技術等関する相談も多かった。
 成果として、介護者の表情や発言からストレスの軽減がみられること、地域包括支援センターや民生委員、ケアマネジャーとの連携がとれたことなどが挙げられる。2009年の調査で抑うつ傾向にあった人については、15人にまで減少した。
 2013年度からは介護保険特別会計地域支援事業に組み込み、経常的財源のもと、より継続的・安定的な事業展開を図っていく。相談員は非常勤の2名体制となったが、豊かな経験を生かして介護者に真正面から相対している。関係機関につなぎながら、根気強く相談を継続し、相談者からも評価をいただいている。



第2部:パネルディスカッション●モデル事業の実際と今後の取り組み
“ケアラーを地域で支えるツールとしくみ”

<パネリスト>
生駒孝志氏(北海道栗山町社会福祉協議会)
塩澤文香氏(さいたま市社会福祉協議会)
松澤明美氏(茨城キリスト教大学看護学部准教授)
玉山 進氏(花巻市生活福祉部長寿福祉課課長)


モデル事業はどう実施されたか:生駒氏

栗山町では、ケアラー手帳は保健師や在宅サポーターなどが定期的に訪問するツールとして活用。週6日営業するケアラーズカフェは5か月で延べ3600人超が利用し、世代を超えた町民同士の交流が生まれている。ケアラーサポーター養成講座は急きょ定員を増やすほどの参加があった。今回のモデル事業を実施して、インフォーマルサービスの必要性が浮き彫りになった。今後は、次世代に向けた在宅介護サービスメニューの実現を目指したい。


モデル事業でみえてきた地域の実情と課題:塩澤氏

さいたま市の地域推進委員としてかかわり、ケアラーサポーター養成講座での受講生募集に協力し、ケアラーズカフェでの専門職の見学会を実施した。ケアマネジャーは要介護者を中心に在宅生活を組み立てており、ケアラーを資源の1つと捉える傾向がある。今回、ケアラーの話を聞くとはどういうことか改めて理解した参加者が多かったようだ。この事業を機にできたネットワークを活用して、今後の支援につなげていきたい。


ツール開発(ケアラー手帳)で考えたこと:松澤氏

ケアラー手帳は、自分が「ケアラー」であることに気づくこと、地域が結びつくことを目的に開発した。利用者アンケートでは、約9割の人が役に立ったと答えている。ケアラー手帳をどのように届け、機能を維持するか、どのような付加価値をつけるかは、地域でのしくみ・ネットワークづくりにかかっている。まずは、介護の初期段階に届けられるしくみが必要である。実現性が高く、無限の可能性をもつツールであり、多くの地域で活用されて育っていくとよいと考えている。


ディスカッション

玉山氏より、「介護者の実態を把握し、向き合うことの大切さを実感した。第6期介護保険事業計画のための調査を活用して、住民の状況とニーズに応じた事業展開をしていかなければならない。住民同士が見守り合い・支え合いながら安心して暮らせることが地域づくりの基本だと思う」との感想が寄せられ、その後、会場とのディスカッションが行われた。花巻市の訪問相談員資格、周囲に知られなくないというケアラーへの対応、ケアラー手帳で健康管理に問題があった場合の対応、ケアラー支援におけるケアマネジャーの役割についてなどの質問が寄せられ、パネリストが丁寧に答えていた。


コーディネーター:堀越栄子(日本ケアラー連盟代表理事、日本女子大学教授)
司会:菅原敏夫(公益社団法人地方自治総合研究所)
レポート:野手香織(日本ケアラー連盟事務局)

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